2011年5月26日木曜日

【読書】デフレの正体

デフレの正体  経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)ドラッカー曰く、唯一予測可能な未来、それは人口構造による社会変化。

今日、今この瞬間の連続が過去と未来を作り出しているわけですが、個人で言えば「You are what you eat.」、つまり食べた物、食べてきたものがあなた自身を作っている、ということで、高カロリーなものを食べ続ければメタボになる、と予測できます。
国家の単位で言えば、人口構造がまさしくその国の活動を定義するわけです。

『経済は「人口の波」で動く』という副題をつけられた本書は、まさにこの人口構造から今を分析し、未来を予測した本。かつ、やたらめったら著名な経済学者に対してケンカ腰(笑)。語り口調に好き嫌いはあるかと思いますが、ボクは結構スカっとしました。

ボク自身、大学では経済学部ながら、経済学を学ぶにつれ現実世界と机上理論のギャップに悩まされ、卒業する頃には「経済学なんて学者の遊び」と結論付けてしまったので(それでも、今でもちゃんと勉強はしてますが)、経済学者なんだかお得生活学者なんだかがテレビで喋ってると「は?」なんて思っていたわけですが、そんな思いを持っているボクに取ってはスッキリする内容。

ベストセラーの本なので今更書評を書いても仕方ありませんが、読後の感想としては
・盲目的に使われている指標に疑問を持ち、意味をしっかり認識すること
・『率』に惑わされず、『絶対数』でも考える事
辺りの考え方や視点が非常に参考になりました。

Amazonレビューには否定的なものもありますが(というか議論が巻き起こってますが)、否定的な意見を呼び起こすだけのパワーを持った内容。とにもかくにも、今とこれからを考える上で一度読んでおいた方がいい良書。まだ読んでない人は、新書だから安いし、お勧めです。

デフレの正体 経済は「人口の波」で動く (角川oneテーマ21)

【読書】フェイスブック 若き天才の野望

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)いつも通りの「今さら読書感想文」です。
このところあまり本を読む時間を作れていなかったので、今年のゴールデンウィークは読書週間にしようと思い立ちつつ、案の定そんなに時間も取れずに(読むのも遅いし)ほぼこれ一冊で終わりました(泣)。

ただ、これ1冊で十分でもありました。

そもそもFacebookって、もともとはそのままの名前で存在する大学名簿(冊子)だったんですね。まったく知りませんでした。それをオンライン化する、というただそれだけの、ひょっとすると誰でも簡単に思いつきそうなことなんだけど、それで一気にSNSの覇者になってしまったマーク・ザッカーバーグの、それでもやはり常人とは圧倒的に違う天才的な先を見る力、感じ取る力、度が過ぎるほどに自分の信念に正直なところが丁寧に描かれていて、読みだすと止まりません。

先に映画ソーシャル・ネットワークを観ていたので、特に冒頭部分、Facebookが会社のような体を成し始めるまでの部分は非常にリアルな映像を思い描くことができ、映画をなぞるような感じで読み進めることができて楽しめます。
ちなみに映画で描かれている部分はこの本の中の本当に最初の数章だけ。面白くなってくるのはその後。
爆発的にユーザー数を増やしながら、それに見合った収益をまったく上げない(そのことに興味すらない!)のに、名だたる投資家・投資会社たちの投資合戦を呼び起こし、パーカーらの強力な支援を受けながら彼らと渡りあい、MySpaceなどの競合を打ち負かしながら、何十万ものユーザーを抱えても常にfacebookによる成功に対して懐疑的であり(事実、周囲がFacebook一本で成功を確信して盛り上がっているときに、マーク本人はそれとは別のP2Pサービスの開発に時間を割いていた)、会社組織として大きくなってきたときに大きくなったが故の危機的状況を内部に抱え、リーダーとしての心構えを勉強し、そしてジョブスと比肩されるほどの若きカリスマ経営者となっていく。20歳そこらで。
その様が、飾られることもなく、丁寧な取材に基づいて構成されていて、単純に読み物として面白いのはもちろんのこと、Webサービス界隈にいる人ならいろいろ勉強になることも多く、是非読んでおくといいと思う。ボクも遅まきながら読んで良かったと思っている。

本格的な書評はWEB上の至る所に素晴らしい内容が掲載されていると思うので、ボクはとりあえず上記のような感想を残しつつ、印象に残った部分をいくつか引用。

■第6章 本物の企業へ(P.202)
ザッカーバーグにとって一番やりたくないのはわが子ともいうべきザ・フェイスブックを売ることだった。ザッカーバーグがスタンフォード大で講演した時、聴衆からいわゆる「出口戦略」について質問が出た。つまり創業した企業をいかに「マネタイズ<現金化>」するかについての戦略である。ザッカーバーグは気分を害したようにぶっきらぼうな口調になった。
「ぼくはこのサービスをどうつくっていくかを考えている。出ていくことなんか考えてない。ぼくは自分たちのやっていることが一番面白いと思う。他人が何をしようと興味はないね。ぼくらはクールなことをやっているんだから、それでいいじゃないか。悪いが、出口戦略なんか考えたことがない」とザッカーバーグは素っ気なく答えた。


■第10章 プライバシー(P.290)
「仕事上の友だちや同僚と、それ以外の知り合いとで異なるイメージを見せる時代は、もうすぐ終わる」
と彼は言う。彼にはいくつか主張があった。
「2種類のアイデンティティーを持つことは、不誠実さの見本だ」
ザッカーバーグが道徳家のように言う。しかし、実利的な面を挙げてこうも行った。
「現代社会の透明性は、ひとりがふたつのアイデンティティーを持つことを許さない」

個人的には、この直前の第9章(2006年)、「情報公開」にまつわる事件とそれに対するマークの対応、そしてこの第10章までの件(くだり)、特に今後のWEBサービスとユーザー動向を考える上で非常に示唆に富んだ内容で参考になった。

■第14章 フェイスブックと世界(P.406)
彼は後の世界での大規模な成長に備えた基盤をつくるために、数々の正しい行動をした。たとえばザッカーバーグは、フェイスブックのインタフェースを常にシンプルで無駄なく整然とさせてきた。グーグルと同じく、舞台裏にあるケタ外れに複雑な一連のテクノロジーを簡素な外観で覆い隠すことで、多種多様な人々を温かく迎え入れた。スペインのある滞在地で、ザッカーバーグは自らの国際戦略の概要を話した。
「人々ができるだけ簡単に情報を共有できる、最もシンプルで最高の製品をつくることだけです」

シンプルなインタフェース、とても大事です。
でも、シンプルなほど難しい。

■第15章 世界の仕組みを変える(P.429)
ニュースフィードのニュースは、かつていかなる専門メディア組織が配信しようとしたニュースよりも、はるかに個人的だった。それは友だちが何をしているか、何に関心があるかに関する当たり前な日常の情報だった。ザッカーバーグが社内でニュースフィードの論拠として挙げた話を思い出してほしい。「自分の家の前で死んでいくリスのほうが、アフリカで死んでいく人たちのことよりも、たった今は重要かもしれない」。今やフェイスブック上での行動の一つひとつが、友だちにとってのニュースになる。

■第17章 未来へ(P.465)
何人かの同僚によると、オープン性と公平性を収益より優先させるというザッカーバーグの欲求は、彼が満足を先送りすることに長けている証しだという。あるいは、彼を駆り立てているのは満足などといった感情とは無縁なのかもしれない。「彼はいつでも次を目指して努力している」と側近のある幹部が言う。
「人にはたいてい安定期や節目があって、のんびり祝福したり達成感を味わったりすることがある。マークにはそれがない」

なんだか、「数ある著作の中で最高傑作は?」と聞かれて必ず「次回作だ」と答えるドラッカーのよう。
その他、この章にはチェック箇所がたくさん。

意識的に後半をピックアップしましたが、もちろん前半部分でも「ふぬぅ・・・」と唸ること多々。
読み物としても、十分お勧めです。
フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)

先に映画を観てから読むと、よりイメージしやすく楽しめること必至。
(映画は完全フィクションだけどね)
ソーシャル・ネットワーク 【デラックス・コレクターズ・エディション】(2枚組) [DVD]



以下、完全なる余談。
はて、そもそも自分がアカウント登録したのはいつだろう、と過去のメールを掘り起こしてみると、どうやらボクは今からちょうど約3年前、2008年6月4日に登録したらしい。第14章で紹介されている通り、「クラウド翻訳」作戦で一気に各国語に翻訳して展開し始めた頃です。
ちょうど、オバマが大統領選でSNSを活用しまくって一大旋風を巻き起こしている頃で、ボクもとりあえず試しにアカウント登録して日本語メールに安心しながら触ってみたものの、とはいえ当時はまだふんだんに英語が入り混じったサイトだったので早々に脱落。そもそも周囲にFacebookアカウントを持っている人がいなかったので、当然のごとく放置していた(友人のいないSNSほど寂しいものはない)。
ちなみにその後2008年8月7日にtwitterアカウントを開設しているので(ここで調べられるよ)、いかにもミーハー感丸出しで食いついてみた、っていうのが如実に現れていてちょっぴり恥ずかしい。
というより、その後何年も放置していながら、最近の本格的なブームに乗ってようやく使い始めちゃってる所が、だいぶ恥ずかしい。

2011年5月9日月曜日

【読書】アイデアを形にして伝える技術

アイデアを形にして伝える技術 (講談社現代新書)こういうノウハウ系の本はもうあまり読まないんだけど、この本は評判がすこぶる良いし、新書なので1時間程度で読めるだろう、ということでゴールデンウィーク期間の隙間で読もうと買って読んだんだけど…

これは、ズルイ。

いや、著者がズルイんじゃなくて、これを大学生や20代の社会人が読めるっていうのは、もう「ズルイよ!」と言いたくなる。
だって、こんなに仕事人にとって的確に、しかも最初から最後まで一貫した流れでもって必要な内容をカバレージしている本がたったの720円で買えるんだよ。

ボクが、苦い経験もしながら本やビジネス誌や諸先輩方、あるいは後輩から学んで盗んで、10年経ってようやくちょっとはまとめ上げられたかな、と思っている「総合的な仕事力」、それが、遥かに上のレベルで体系化され、わかりやすい実践例と共に具体化されている。
ボクも20代でこの本に出会いたかったよ…。

本文からいくつか引用しようと思ったけど、もう引用したいところが多すぎて書籍の内容を丸々コピーしてしまいかねない。
なのでとりあえず、Amazonのページにでも行って目次を見ていただきたいんだけど、大きく分けて

第1部、インプットの技術
第2部、アウトプットの技術

と分かれていて、この中にそれぞれで必要とされる具体的な技術や心構え、思考法等が書かれているのはもちろん、実際に現場に足を運ぶ際に気をつけるべきことや、それぞれのコミュニケーション方法、アウトプットの質を高めるプレゼンの極意などが、贅沢に濃縮されて詰め込まれている。
第6章「企画書を書く」では、実際にこの本の企画書が取り上げられていて、その辺りの構成も心憎い。

取材現場の目線から企画屋の目線、企画を実現するマネジメントの目線、的確に第三者に伝えていく広報目線、全部入りでこの新書サイズっていうのは、ちょっと、軽い衝撃すら受けた。

20代社会人の方、あるいは大学生の方は是非読むべし。たった720円の投資で、得られるリターンは大きい。
(随所で良書、良コンテンツへのナビゲートもあるので、これをベースに広げていくのも良いと思う)


経営者はゴールから逆算してやるべき事(やらない事)を決める、というけど、これと同じことで、会社員だって職人さんだって、仕事はアウトプットのみによって評価される。

ならば、そのアウトプットの質を高めるには?

アイデアを形にして伝える技術 (講談社現代新書)

2011年4月13日水曜日

SEには常識な作業効率化の小ネタを公開しようぜ【その1】(改行置換)

SE風味なことをやっていると、設計したり調整したりドキュメント書いたりダラダラ打ち合わせwする以外にも、障害発生時にDBでデータの調査をしたり、バックアップを取ったり、依頼を受けて簡単なスクリプト作ったり、あるいはソース書いたり、いろいろとありますよね。

で、そんな時SE風な人たちは至極面倒な作業であっても、それが「定型作業の繰り返し」であれば、ちょこちょこっと工夫して効率よくこなすことができますよね。
それ、隠してないで皆に公開しようぜっ!という話。
だから、SE風味なアナタはもう普段やっていることなので、「あぁ、改行置換の話ね」とスルーして仕事に戻ってください。

「改行」を置換して一気に整形

たとえばOracleで、テーブルの中身を項目指定して取得して、結果をCSV形式で保存したいようなシーンってよくありますよね?ね?「ある」って言いなさい。
(ごめん、ちょっと良い例がすぐ思いつかなくて)

さぁ!そんな時の作業手順としては、
(1)取得項目をズラズラっと列挙したSELECT文を書いて、
(2)SELECTの結果がCSV形式になるようにSELECT文に小細工して、
(3)SQL*Plusで実行(spoolで保存)
といった感じでしょうか。

このSQL文をなるべく効率よく作る時のようなシーンで活躍するのが、「改行」の置換です。よね?ね?

まずは、SELECT文で使用する取得項目を列挙するためにDESCRIBE。
例)
SQL> desc sample_tbl
USERID    CHAR(10)
NAME      VARCHAR2(80)
BIRTHDAY  DATE
SEX       NUMBER(1)
AGE       NUMBER(3)
NICKNAME  VARCHAR2(40)
上記の結果を矩形コピーして(Ctrl押しながら、あるいはAlt押しながら範囲選択すれば大抵できる)、項目だけをテキストエディタにコピペしたらCSVに出力したい項目だけ残して消します。

例A
USERID
NAME
BIRTHDAY
NICKNAME
これがSELECTで取得する項目になるわけですが、取得した結果がCSVとなるようにちょっと編集したい(上記(2)の作業)。
項目の間に「,」(カンマ)を入れ、Excelで開いても崩れないようにするために各項目を「"」(ダブルクォート)で囲うようにします。
要は、最終的にこんなSELECT文にしたい。

例B
SELECT
'"' || USERID || '",'
|| '"' || NAME || '",'
|| '"' || BIRTHDAY || '",'
|| '"' || NICKNAME '"'
FROM sample_tbl;

例Aから例Bをいかにサクっと作るか、そこで改行変換を活用。

例Aに対してザックリと以下のようにすれば例Bに近いものが出来上がりそうです。
・各行の終わりに『 || '",'』をくっつける
・各行の先頭に『|| '"' || 』をくっつける

つまり、各行の改行の前に『 || '",'』、改行の後ろに『|| '"' || 』をくっつければ良いわけです。
ではテキストエディタを使ってそのように変換しましょう。

秀丸、EmEditorといった定番テキストエディタに例Aが貼りつけられた状態で、「置換」(Ctrl+R)。
表示されたダイアログで検索(置換前)文字に『\n』、置換後の文字に『 || '",'\n|| '"' || 』を入れます。
「正規表現」にチェックを入れるのを忘れずに。

秀丸の例

これで「全置換」すると、あっという間に以下のようになります。
USERID|| '",'
|| '"' ||NAME|| '",'
|| '"' ||BIRTHDAY|| '",'
|| '"' ||NICKNAME|| '",'
|| '"' ||
ただ、このやり方だとこんな風に1行目と最終行が意図したものとは異なってしまうので、そこだけはチョチョイと手で編集(オイッ
後は先頭に「SELECT」、後ろに「FROM sample_tbl;」と付け足せば例BのSELECT文が完成。
たった4行だと手でやるのとあんまり変わりませんが、これが数十行、数百行単位になってくると効果絶大です。

ちなみにちょっと説明を付け足しておくと(SEさんには常識ですが)、「\n」というのがつまり「改行」を表しています。
その他、「\t」=「TAB」というのも結構使います(Excelのデータをテキストエディタにコピペすると、TAB区切りになりますからね)。



まぁ、さすがにちょっと例(OracleからCSV云々)がマニアックな内容だと思いますが、「改行を置換できる」ってことを覚えておくと役立つ場面は多いと思いますので、「なんだかマニアックだなぁ」とか思わずに、知らない人は是非一度お試しあれ。


次回は「Excelはコードエディタです」でも紹介しましょうか。

2011年4月4日月曜日

【読書】キュレーションの時代

キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)
「夜、寝る前に、明日の仕事のやり方を考える。その時に、『あの人だったらどうするだろうか』『この人だったらどういう風に考えるだろうか』と、自分が尊敬している人や憧れている人の立場にたって、その人の頭になって考えてみる。そうやって、いろんな人の考え方をインストールしておくと、不測の事態にも対応できるようになる」

これは、かつて1年足らずの間だけボクの営業のお師匠さまだった人が教えてくれたことの中の1つで、かつ、一番よく覚えている話。当時のボクはこの話を聞いて「なるほど」を連発していた記憶がある。連発したくなるほどに、その考え方が当時の自分にビビっと突き刺さった。

なぜ突き刺さったのかと考えると、それはおそらく「『自分の考え』に対する自信の無さ」だったのかもしれない。
さらに言うと、そもそも『自分の考え』というものの捉え方が(いまだに)はっきりしていなくて、例えば「このことに対してどうすべきだと思うか?」と問われたときに、自分の知識や経験から答えを導き出して答えるわけだけど、そもそもその知識の源泉は、それまで受けてきた教育や、親や先輩、同僚から教わってきた「外から入ってきた考え」。
従って、基本的にはそれらのピースを自分なりに組み合わせて出てきたものと、自身のそれまでの経験を混ぜ合わせるわけだけど、果たしてそれが「自分の考え」なのかと言うと、「あの人とこの人とその人の話と、あの本とこの本の内容と、あとは、先人に比べればちっぽけ過ぎる自分自身の経験が少々」が正解なんじゃないか、と。

冒頭の言葉は、そんなゴチャゴチャした悩みを抱えたボクに、「なるほど、それでもいいのか」と肯定してくれた内容に思えたことが、とても突き刺さった原因だと思う。

と、前置きが長くなってしまったけど、そんなことをツラツラと日々考えているボクにとって、本書で丁寧に説明されている「視座にチェックインする」(第3章)という表現と切り取り方に、非常に共感した。
本文中でも紹介されているわかりやすい例で言うと、例えばNHKの「ブラタモリ」(P.196)。タモリさんが東京の街を歩きながら街の魅力を再発見する、という人気番組で、ボクも録画して観るほどに大好きなんだが、まさにあの番組は「タモリさんの視点を通して街を見る」ことによって、新たな出会いや発見を求める作りになっている。
視座とは、どのような位置と方角と価値観によってものごとを見るのかという、そのわくぐみのこと(P.195)で、視座を提供する人のことをキュレーターと言う。この場合、タモリさんがキュレーターだ。そして、キュレーターが行う「視座の提供」がキュレーション(P.210)。
もっと具体的にどういったことかを手っ取り早く知るなら、とりあえず著者である@sasakitoshinaoさんをフォローして、午前中のツイートをチェック。

旧態依然として完全に出遅れた日本の映画界や音楽業界の敗因が詳しく解説され、同じくWEBをいまだに理解できていない一部マスコミに対しストレートに批判をぶつけつつ、この新しいパラダイムについて非常に丁寧に説明されている。読み進めながら、確かに自身の最近の情報との接し方を振り返ってみても納得のいくことが多く、かつ、では自分たちがどうやって情報を発信していくか、ということを考えさせられる。

この本を読んで思い出すのは、『ストーリーテリングは、最も過小評価されているビジネススキルである。』というゲイリーの言葉。本書でも、物語の重要性がコンテンツとコンテキストという枠組みでしっかりと語られている。
(今、次に読み始めている本なんて、まさにそのまんま・・・ストーリーとしての競争戦略 ―優れた戦略の条件 (Hitotsubashi Business Review Books))

全体的に、ちょっと芸術面(音楽や絵画等)の例が長々と続いて読むのが重たい部分もあったが、いずれもエピソードとしては面白く、おそらくこれも著者である佐々木さんが読者に対してセレンディピティ(偶然の幸福な出会い)を狙ったのかな、と思ったり。
自分に入ってくる雑多な情報をフィルタリングすることと、フィルタリングによる「タコツボ化」。この相反する状態を、キュレーションという機能がどう解消していくのか。「今」そして「これから」の情報との接し方について考えさせられる、
とても勉強になる本でした。