2011年1月13日木曜日

【読書】大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する

大ヒットの方程式 ソーシャルメディアのクチコミ効果を数式化する以前、@tokurikiさんがお勧めしていたので期待して読んでみたが、ビジネス書としては5つ星中、星1つといった感想。ボクは大抵どんな書籍も一応最後までビッシリ読む方だけど、この本については後半に進むにつれ流し読みになり、最後の章辺りはほぼ読まずに終了してしまった。

本書では、この前作となる「ヒット学─コンテンツ・ビジネスに学ぶ6つのヒット法則」の内容をベースに「ヒットの法則」を数理モデル化し、その数理モデルの有効性を実際のヒット映画(アバターとかダヴィンチコードとか)に当てはめて検証する、というもの。

この数理モデルだが、マーケティングの世界では数字やそれこそ数理モデルを扱うことはあるとはいえ、本書の内容は数学、物理学に普段から慣れ親しんでいないと難しい(ボクが文系だから?)。しかも、ヒットした映画のデータに合わせてパラメータを調整して「ほら、シミュレーション結果と一致した」とか言われた日にゃ、「数字遊びもたいがいにせぃや」と言いたくなってくる。

というわけで、本書はヒット映画を検証用のネタとして、著者が編み出した数理モデルがいかに現実に当てはめ可能なものか、ということをアピっている学者の論文である、と解釈するのが吉かと。

定量的な分析として数理モデル、定性的な分析として「話題共鳴分析」をする、というアプローチは良いと思うけど、あくまで「分析した」だけであって、そこから次へ繋がるプラスアルファ、あるいは体系化したノウハウといったものが無く、学問的には面白いのかもしれないが、ビジネス書としてははっきり言って失格だと思う。

一応、最後に数式の解説、および地方イベント開催を例に実際にこの分析を当てはめてみるオリエンテーション的なものがついているが、「時間と予算が余っている」人にしか出来ないと思える内容で、ほぼ参考にならなかった。


と散々酷評したけど、「賛否の分かれる作品はヒットする」という業界仮説を定量的、定性的に分析した結果などは面白く読めた。部分部分でヒントになりそうなものは散らばっているが、ほとんどがちょっと勉強したことがある人にとっては常識的な話で、目玉の分析にはこじつけ感があるところも多く、まだ「ビジネス書として」出すには早まっちゃったかな、そんな感想。

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