2010年9月6日月曜日

景気は回復するの?

とりあえず毎日働いていればいずれ景気が回復して、給料だってカットされることもなくボーナスだってもらえるさ。


と思いながら働いているボクと同じ世代(ボクは今33歳です)ぐらいの会社員の人は結構多いと思うんだけど、それは「親が高度経済成長期を過ごした、支えた人」に通じる普通の意識なんじゃないかとも思う。
親は会社員で、長く務めるほど給料は上がって、そのうち家も買って、後は定年まで勤め上げたら年金でゆっくり暮らすのさ、という「レールの敷かれた人生」。「良い大学に行って、一流企業に勤めて、・・・」というアレ。ボクらはそれに反発しつつも、それを目の当たりにしながらそれこそが家庭を支えてくれていた、という事実も理解していた(まぁ、我が父は40歳ぐらいになるまで会社員にはならずいろいろとやって苦労していたからちょっと事情は違うけど、最終的には会社勤めの人になった。苦労しながらボクを大学まで行かせてくれた両親にはとても感謝)。

両親が子供だった頃は、日本も貧しく本気で「ひもじい」経験をした、ということは多くの話を聞いてイメージとして知っているが、ボクらの世代は恐らくその時代ほど「ひもじい」経験をしたことがある人はあまりいないんじゃなかろうか。それに近いぐらい大変だった人も周りにいるので、「いない」とは言い切らないが。
一億総中流社会と言われ、一流企業に勤めていればこの先安泰、といった空気感の中で育ったボクらは、総じてリスクへのケアが弱いような気がしている。「とはいえ何とかなるさ」という無意識の意識。

もちろん、ある程度こういった楽観さは必要で、そうじゃないと危機的状況の時に潰れてしまいやすくなってしまうし、夢にチャレンジすることも出来なくなってしまうんだが、前向きの「何とかなるさ」ならそう問題もないが後ろ向きの「何とかなるさ」の人にとって、もうそんなに遠くない将来に「何ともならない」社会が来てしまうのではないか、という気がしてならない。

一流企業と言ったって、日本の一流企業、例えばパナソニックだってまだ設立して100年も経っていない。トヨタしかり。就職企業人気ランキングで4年連続1位の三菱商事も、設立してから60年も経っていない(もちろん海援隊からの流れを汲むと、倍以上になる。伊藤忠も150年ぐらいか・・・それは凄いな)。
つまり何が言いたいかと言うと、今こうして多くの人が毎朝満員電車に揺られて会社へ行き、夜また電車に乗って帰宅する毎日、という社会スキームはたかだかこの100年ぽっちの間に生まれたもので、それは実は思っているより壊れやすいものなんじゃないか?ということ。

もちろん、会社という制度が社会に根付いて経済的発展をもたらした、このことこそ産業革命だ!とも言えるんだろうし、そもそもこれが極論暴論だというのは自覚しているけれど、制度・社会インフラの整備が進みいよいよ多くの(それほど大きいとは言えない)企業も海外(主に中国をイメージ)とのdealを当然のように始め、本格的に経済のグローバリゼーション化が進む中で、多くの企業が淘汰されていくのは素人のボクから見ていても間違いない。

バブルが弾けた1990年を境に企業倒産件数が一気に増加したことを、「国内」を戦場とした淘汰の時代だとしたら、今はまさしく「世界」を戦場とした淘汰の時代が日本全体に降りかかっているんだろう(くしくも、来年6月には企業会計がIFRSへ移行して、いよいよ日本企業は国際舞台に引っ張り出される・・・の?)。

そして相対的に安心感がある、という一点において評価されている「円」が高いところに推移したまま落ちてこないこの状況において、輸出産業構造の日本は当然のように大ダメージを受け、企業は「企業努力」によって調達・生産拠点を労働力の安い海外に移転する。するとこれまたよく言われる「国内空洞化」というヤツが顔を出して、下請け企業やさらにその下請けの町工場等が大ダメージを受ける。

一方で、経団連を敵に回した民主党(政権与党)からはこの一年、(最初の1か月はお祭りムードで良いとしても)政治的無能っぷりと内部の痴話喧嘩、お小遣い毎月1500万円の宇宙人の戯言と大事なところで誰も連絡が取れなくなるのに国の代表になろう、という不思議な元幹事長の信用度ZEROの発言しか見えてこない、くだらな過ぎる期間をやり過ごしている。雇用!雇用!と連呼している人はこの期に及んで何を連呼しているのか、落ち着いて考えてみてください。(ところで普天間の方々におかれては、政治家というものに心底呆れかえっておらるのではないかと思う)

さて、政治に何も期待できない(ボクらの世代には「政治に期待しない」というのも共通感覚としてあると思っているが、それはまた別の機会にでも書こう)状況で、もう数年、いや数十年前から言われれている「経済のグローバル化による輸出型産業構造の終焉」はいよいよ現実味を帯びてきている。
そんな中、知識・頭脳の輸出とでも言うべきソフトパワーというのは非常に重要なんだが、あの「1番じゃなきゃダメなんですか?」発言(後に撤回したどころか本まで出しましたね。一番じゃなきゃダメですか?)に代表されるように、政治が期待できないどころか、大事な国の発展をぶち壊すことだってある。(ちなみに麻生さんのマンガびいき戦略は、意外と良かったと思っていて、ただ戦術がマズかった)


このような状況の中で、さぁ果たして「景気が回復する」のを待ち続けていいのだろうか。
「とりあえず『もしドラ』読んで、なんかやる気出たわ!」
と言ったまま、これまでと変わらない毎日を続けていていいのだろうか?


ボクは、日本の景気は今のままでは回復しないと思っていて、そもそも「回復」という言葉自体が間違っている気がしている。「これが現在の日本の経済力を正しく評価した姿(点数)で、良いはずのものが悪くなったわけではなく、そもそも縮小している」という認識が合っていると思う。

例えば師ドラッカーは、「産業の外部変化のうち、人口数、年齢構成、進学率、雇用、所得など人口にかかわる変化ほど明らかなものはない。見誤りようがない。もたらすものの予測も容易である。リードタイムまで明らかである。」と、唯一予測可能な外部変化について教えてくれている。で、これをあえて後ろ向きに捉えると(笑)、(労働)人口がどんどん減っている、減っていく日本の経済規模がどうなるか、という単純な質問が思いつく。

単純労働は海外移転、あるいは国内の外国人労働者(都心の居酒屋やコンビニはホントに多いね)が担いつつ、IT化により高度に効率化されていく知識労働の仕事が中心となっていくであろう中で、人口減に歯止めがかからない日本の産業構造、経済構造は果たしてどうなっていくんだろう?


とまぁ、あまり悲観的なことばかり書いていても気分が暗くなるだけなので、ではどうしたら発展していけるのか、前向きになれるのか、ということを考えていきたく思いますが、今日はまず「煽り」のエントリー(笑)で問題提起だけしておきます。というか、油断している同世代の人がいたら、まずはその人たちへのメッセージにしたく思います。


とは言え、ものすごく高い意識と鋭い頭脳と実行力で頑張っている同世代の人が多いことと、僕らより下の世代(好況を知らない、デジタルネイティブな世代)に大きなイノベーションが起こるんじゃないか、という期待があるので(その結果僕らの世代が中抜きになりそうな気もするが;)先はそんなに暗くない。はず。


#スキだらけな文章なのでツッコミまくってくれると嬉しいです。いつもすんません。

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