2013年4月9日火曜日

「フリーランスとサラリーマン」っていう分け方の話じゃないでしょう。

まぁ別にスルーすればいいんだけど、例えばこれから社会に出て行こうとする若者たちが最近のイケダハヤトさんの極論断定ブログを読んでも害の方が大きい気がするので、滅多としない他人のブログに絡みつく、ということをやってみます。(別にアンチ・イケダハヤトとかそういうのは全くないです。いやむしろ自身の価値観で生き抜いていて素晴らしいとも思います)
#リンク貼っておきます。読んでないけど。
年収150万円で僕らは自由に生きていく (星海社新書)

とりあえず、今日のブログ(これは完全にWeb Logレベルなのであえて記事とは言わずブログと呼びます)。
社畜と家畜の共通点 - ihayato.書店 | ihayato.書店

これスタート地点がヒドすぎる。
もともと「家畜」という言葉があった上で、一定規模の会社なら必ず存在する給料ドロボー的な社員を家畜になぞらえて社畜と呼んだ話であって、比喩なんだから共通点もへったくれもない。例えるなら「AKB48とNMB48の共通点」について話してるだけで、同じ物を並べて話しているのでまったく意味が無いというか、プロブロガーとしてこんなこと書いてて恥ずかしくないのかなぁ、とすら思います。
イケダさんはFBのコメントで「昨日の夜布団に入ってピピーン!とタイトルだけ舞い降りたので、朝起きて15分ほどで記事化してみました。(中略)こういうことがあるから、創作活動はやめられないんですよね。このアナロジースタイルはものにしようと思います。」とおっしゃってるんだけど、これアナロジー(類比)でも何でもないですよね?(決してアンチとかそういうのはないです)


と、本当は別に今日のブログに絡みつく気は全然なくて、何日か前のこの記事を読んだ時にちょっとイラッときたんです。(いやだから全然アンチとかじゃないです)

サラリーマンの仕事の質がフリーランスよりも低い理由 - ihayato.書店 | ihayato.書店

なんというか、本当にこの人は世間を知らないんじゃないか、自分が知っていること・体験したことがすべて、という狭い世界で生きているんじゃないか?と悲しくなると同時に、これを鵜呑みにする若い人たちが増えだしたらエライことになるぞ、と思ったわけです。
なので、鵜呑みさせないために、釣りタイトルに思いっきり釣られて、サラリーマンとかフリーランスについて思うところを書いてみます。

ボクは現在フリーランスを丸3年ほどやってますが、それ以前は小さなベンチャーで営業を5年近くやっていました(その前は500人ほどの会社でシステム開発職です)。営業職だった当時、繰り返しますが小さなベンチャー企業だったので、専任営業はボク一人だけという期間も長くあり、そのおかげで多くの会社の社長や役員をはじめ、優秀なマネージャーや社員の方々とお話させていただく機会をいただきました。

社長や役員、マネージャーの方が意識高くハイパフォーマンスな仕事をされるのはもちろん、社員の方でも目的意識をもって高いパフォーマンスを出している方はたくさんいらっしゃいました。決して、(フリーランスに対比して)「サラリーマンは~」と一括りなんて出来ないです。サラリーマンでも、フリーランスより質の高い仕事をする方なんてゴマンといるんですよ。そんなの皆さん、知ってると思いますけど。
イケダさんは、売上目標に縛られて、無理矢理にでもモノを売りつけるような会社で働いていたんでしょうかね。もしくはそういう会社とばかりお付き合いされているんですかね?そうじゃない会社もたくさんあります。
それを「傾向」として言うのであれば、フリーランスだって必要のないモノを売りつける人だって普通にいます。

そもそもボクは、自身がフリーランスですが、それは決して他の人と比べて優秀だからというわけではもちろんなく、自分で自分に責任を持つための一番の近道がフリーランスという方法に思えるからフリーランスをやっているわけです。ぶっちゃけ能力とか仕事の質とか関係なし。会社に所属するメリットとデメリット、所属しないメリットとデメリット、それを自分の価値観で判断した結果、フリーランスが良い、という結論にたどり着いたわけです。
従って当然、この判断をするためには「会社員」としての経験がないとその良し悪しなんて分かりません(ベストセラー「ストーリーとしての競争戦略」にある『理屈じゃないから理屈が大切』の論理に似てますね)。
今、ボクはイケダさんのこれらのブログを読んだ若者が単純に「やっぱサラリーマンなんてやってらんねーぜ!」と思考放棄してしまう危険性を慮りながら書いているわけですが、なのでボクは、これから社会に出て行く若い人に向けては「絶対にこれをやり遂げる!」という強烈な思いやビジョンがない限り、会社勤めを少なくとも2年はするのが良いとお勧めしたい(強い思いとビジョンがあるなら、すぐやった方がいいけど)。
「なんかノマドとか自由なスタイルで仕事できていいよね、っつうか社畜になんてなりたくないし」というレベルで世の中に出るリスクの大きさを、しっかりと認識しておいて欲しいのです(そんなヤツぁいないかw)。というか、就職試験で面接官を口説き落とせない人が、ビジネスの世界で、きちんと対価を得る仕事を取ってこれるとはどうしても思えないので、悪いことは言わないから、「絶対にやりたいこと」がないのであればまずは会社に入って社会勉強すべし。
ちなみに「2年」としたのは、2年目には後輩が出来て、先輩としての勉強ができるからです。

それでもどうしてもサラリーマンなんてダサくてヤだぜ!という方に向けて、フリーランスとサラリーマンの違いをイケダさんに倣って極論してみましょう。

フリーランスで一番大事なのは、ボクは健康な体と営業力だと思っています。フリーランスは有給休暇というサラリーマン最大の特権がありませんので、仕事を取ってこないと、あっという間に死ねます。仕事を取ってきたとしても、体を壊して仕事できなかったら、やはり軽く死ねます。
というわけで営業力はとても大事。かく言うボクもサラリーマンの時に営業職をやって初めて仕事を獲得する難しさを知ったわけですが、例えばある企業に提案をする時、相手の担当者の方の社内でのポジションと所属組織のライン、他部署との関係、上長の決裁額辺りが重要ですね(「顧客目線の提案になっているか」とかそういうのは当たり前の前提条件として、その先の営業実務の話ですからね)。
企業規模にもよりますが、相手の担当者の方はこちらの提案内容を検討していくに当たって、いろいろと社内政治が必要なこともあるかもしれない。そんな時、その担当者が社内で動きやすくなるような情報などをまとめたり、各所に働きかけたりして進めていくことになると思います。
これ、自分が会社員としての経験がないと、そこまで想像が及ばない、想像できたとしても何をすればいいのかわからないんじゃないかと思います。自身が会社人の経験をしていないと、相手の状況を想像できない、理解できないと思うんですが、どうですかね。

そしてさらに大事なのが、人脈の作りやすさ。会社員としてある程度の肩書きを持つと、会社の信用度を使って結構いろんな人に会えます。いろんな会合にも参加できます。初見の信用度という意味ではやはりフリーランスより格段に上がるので、いろんなお話や商談も出来ます。
フリーランスになると自分の信用力一本で食っていかないといけないので、ほとんど人脈もない状態でフリーになると商談どころか会ってもらうのも大変です。また、フリーランスだと会社組織に比べて出来る仕事の規模が小さくなるので、ある程度実績がないと、商談の規模もどうしても小さくなりやすい。予算規模数億円、というような大きな仕事をしようと思うと、(個人ではないという意味で)サラリーマンじゃないと難しいところです。


あと、なんか意見を権威付けするために書いていると思うんですが、これ、気になります。
とあるベンチャー企業の取締役が、「優秀な広告パーソンは『このマーケティング課題だったら、広告を使わなくても達成できますよ』と伝えられる人材だ」という話をしていたのが印象的です。
このベンチャー企業の取締役の方がどの方なのかはわかりませんが、ボクもフリーランスの傍ら、一応ベンチャー企業の取締役ですので、ボクから言えることは「優秀な広告パーソンは『このマーケティング課題だったら、広告を使わなくても達成できますよ。ただ、こういう広告を打てばその数倍の効果を出せますよ』と伝えられる人材だ」と話します。
どう考えたって、それがビジネスでしょ。

そもそもですよ、イケダさんに倣って極論すれば、フリーランスばっかりになって皆が「これは無駄なんで削っちゃいましょう」なんてやってたら経済全体がシュリンクしますよ。極論ですけど。


ダラダラと書いてきましたが、多くのPVを稼ぎ影響力のある(であろう)プロ・ブロガーの方が、自分の知っている世界だけでそれを“即ち世の中”と当てはめてただの愚痴のようなブログを書くというのは、あまりにも浅はかなのではないか、自身の記事を読んだ人たち(特に社会に出る前の若者)にどういう影響を与えるか、ということについてあまりに無責任なのではないか、と思い、絡みついてみました。

ここまできて、なんか絡み方の方向性を間違えたっていうか、全然違う話をしている気もしてきましたが、とにかく「質の高い仕事をする人もいれば低い人もいて、それはフリーランスだから、サラリーマンだから、というレベルで区分けできる話では決してない」ということを言いたい。ってそんなこと本文で全然言ってなかったんですけど…。

最後に。
今回の件のブログを機に議論を巻き起こしたい…という目論見があったのであれば、イケダ氏の勝ち。

0 件のコメント: