2010年2月19日金曜日

デブサミ2010 レポート(その1)

2008年、2009年と、コミュニティの人間として話す側にいたDevelopers Summit。今回は純粋に情報収集のために参加。

今回の参加の目的は以下。

今のクラウドがどれぐらいビジネスに使えるか、の情報収集
【19-E-4】クラウド開発に役立つ OSS あれこれ
【19-D-6】Programming Amazon Web Services/EC2,SQS,S3,SimpleDB

これからクラウドに影響しそうな技術についての情報収集
【19-B-5】Google 日本語入力を支える情報処理技術
【19-E-7】次世代Web標準 HTML5 最新動向


というわけで、以下、まずは【19-E-4】と【19-D-6】の感想をダラダラと書きます。(下2つは別エントリ)

【19-E-4】クラウド開発に役立つ OSS あれこれ(オージス総研)
まず前提。

SIとして、

  • 企業内システムを全部クラウド化するとしたら、どんな問題にぶち当たるか

  • そしてその問題の解決に使えるOSSはどれか?


という観点のセッション。

今後のこの業界(現場レベルでの)を考える上で、この着眼点と方向性は非常に良かったと思う。
また、講演資料(スライド)はどちらかと言うとライトニングトーク(LT)に近い作りだったが、それはそれで、複数セッションを一日かけて聞きまくっている聴講者にとってはエッセンスだけが伝わってきて良かった。

構成としては上記を前半後半に分かれて別スピーカーが講演。
前半は水野正隆氏。
「オンプレミスなシステムとクラウドを連携させる時の問題点」として
・プロトコルの違い
・繋げなければいけないシステムの多さ
を指摘。

その2つの問題点はつまり、システム開発する上で一番「泥臭い」部分はやはり何とか解決していかなければいけない、ということで、特に以下3点について言及。(ちなみにAmazonを利用して開発してみた際の実例らしい)

(1)共同開発しにくい。
システムの開発現場とクラウドサービスの契約関係とのギャップがある。
SI案件は複数の会社にまたがって開発されることが多いが、クラウドサービスの契約は「代表者とクラウドサービサーとの間」で交わされる。
そのため、システム開発に携わる会社(メンバー)にそのクラウドサービスを利用してもらうには、契約者のID/PWD情報を全会社(メンバー)に渡さないといけない、等の障壁が出てしまう。

(2)テストしにくい。
使ったら使った分の料金を払えば良い、というのがクラウドのメリットだが、気持ち的にはそれは「本番稼動後」に限って欲しい話。開発途中や、それこそ終盤は大量のテストを行うわけだが、何のルールも無しに(つまり「テスト環境がある」というこれまで通りの感覚で)実施してしまうと、後から請求金額がエライことになる。
また、テストの自動化についても、これまでのノウハウが利用できない、等のデメリットがある。

(3)デプロイ先が多くてたまんない。
異なるクラウドサービスの得手不得手を見極めながら連携させてシステム構築したは良いが、その分、デプロイ先が増えてしまう。クラウドサービスが異なればデプロイ方法も違うし、複数の仮想マシンへ手動でデプロイするなんて怖くて絶対に出来ない。


と問題提起があった上で、それを解決するための方法として使えるOSSは?を後半、奥垣内喬氏が講演。
ここから急にググっと技術寄りな話に。下記それぞれのツールが、上記の問題点を解決するのに役立つだろう、というもの。
以下、聞こえた順にズラっと記載。

rforce
Force.com上で使えるRubyライブラリ。ちょっとしたツールを作成するのに有用。

fabulatr
Amazon EC2を共同利用する際に便利。

Puppet
システム管理を自動化。

Wakame
Amazonのサービスにおいてインスタンスを増減できる。

Atomosphere
Comet関連APIを抽象化するライブラリ。GAE/Jでも動く。

muleESB
POJPサービスコンテナ。スループットを最適化させることができる。(有名な書籍「GOAL」の話に近い、と補足が入って何とか理解できました)。

Eucalyptus
Amazon EC2互換のインフラサービスを構築可能。


ちなみに、奥垣内氏がいろいろと調査した中で「これは」というものをピックアップしてくれたそうで、資料の中ではその他にもいろいろと名前が挙がってました。ボクは聞こえた内容を手元にメモるので精一杯だったので、その瞬間では上記ぐらいの理解しか出来ませんでしたが、そのうち講演資料がデブサミHPからDLできるようになるかと思うので、期待。
■追記:公開されました。


概して、ボクのように「クラウドの概要は知ってるけど開発案件で使ったことがない」というレベルにとっては、大変有益なセッションだった。

残念な点としては、(1)と(2)の間でギャップが大き過ぎた。
スピーカーが(1)と(2)で異なったので仕方ない面もあるとは思うが、少なくともその間を埋める繋ぎが欲しかった。
恐らく、スピーカーとしても「どのレベルの聞き手を想定して話をすれば良いのか」という思案の中で、調査・設計という上流に近い人から、実際に開発を技術面から陣頭指揮する人および開発者、という双方にとってメリットのある話を、ということだったんだろうけど、結果として話のレベルがまったく異なる2つのセッションを無理やり一つにしてしまった、という感じになってしまった。

前半と後半の繋ぎさえスムーズに行けば、100点満点のセッションだったと思う。



【19-D-6】Programming Amazon Web Services/EC2,SQS,S3,SimpleDB(Amazon)

Amazon.comの Jeff Barr氏が講演。
センテンス毎に日本語へ通訳、という2時間講演コースの方法のため、当然のことながら時間不足。

内容としては、タイトルに挙げられているそれぞれのサービスのアウトラインを紹介して、実際にPHPを使って利用するには、というサンプルコード解説。

なんだかんだで、Amazonのクラウドサービスについてよく知らないボクにとっては、情報収集という観点では役立った。「CloudFusion」というのも初めて知ったぐらいだし。
でも、タイトル(Programming Amazon Web Serveices)を見て参加した技術者の方にとったら不満の多い内容だったと思う。

合間で笑えるユーモアを交えながら進めるセンスはさすが、と思いながらも、45分しかないセッションで通訳しながらの講演は、ちょっとツライ。

そして、何より一番驚いたのは、Adobeの小島英揮氏がいつの間にかAmazonの人になっていたこと。Jeff氏の講演をサポートされてました。いつの間に…。


というわけで、レポート前半終了。

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