2010年5月24日月曜日

クラウド時代のIT営業マンに未来はあるのか?

作りつけSIをやる企業が多い日本だけど、そんな日本においても間違いなくクラウドの潮流がザブーンときている。佐藤浩市だって「クラウド?ですから」なんてCMで言っちゃうぐらい。

ZDNetの記事によると、ガートナーの調査では日本国内のSaaS市場規模は2013年に427億円と予測。NRIさんなんて、2009年に約2,400億円、2013年には約8,500億円、2015年には1兆1,300億円と、これまた桁違いな予測をされています。
※この金額差は、SaaSという言葉の定義の曖昧さが故でしょうが、それにしてもここまで違うと笑えます。

さて、ITとかシステムとか言われるものがどんどんクラウドになっていったら、この業界(システム開発、ソフトウェア開発)はどうなるのだろう、という、我々がご飯を食っていけるかどうかに関わる話。

◆クラウド時代のIT営業マン
クラウドがいよいよ本格的にITの主流となった時、一番シフトチェンジを迫られるのは、営業マンなんじゃなかろうか、と想像している。
クラウドのサービス(システム)というのは基本的に従量課金制。とにかく安い。だから導入する企業から見ると低コストというのが何よりも魅力。あぁ、素晴らしい。
裏を返すと、サービス提供側からしたら、例えばグループウェアか何かをSaaSで提供して基本料金=1アカウント月額315円!みたいなものを販売するのに、これまでのような「御用聞き営業」とか「ソリューション提案営業」をやっていたのでは、とてもじゃないけど販売コストばかりかかってまったくペイしない。SaaSアプリ(アプリ?)を販売するなら、そういった営業マンによる販売ではなく、とにかくWEBを中心としたマーケティングによる販売に心血を注ぐことだろう。いや、そうじゃないと実際やっていけないと思う。

つまり、世の中のシステムのクラウド化が進むほどに、いわゆるシステム開発の受託営業マンの居場所がなくなってしまうんじゃないの?という危機感。

という一方で、今日の出だしで書いたように、日本は基本的に「作りつけ」のシステム開発が普通。だからそうそう受託開発が消えてなくなることは無いだろうし、もう一つ大きな要素がある。

銀行の企画部門(様)。

日本のシステム業界は、とにかく金融(特に銀行)業界を中心に考えておけば良い。大抵のシステムやパッケージは、金融機関で採用された実績があれば一気に横展開できる(他の業界でも、「銀行さんで使われているシステムなら安心できる」という具合である。ボクも営業をやっていたけど、金融機関での採用実績、これはデカイ)。
いわゆる受託開発にしても、例えば「○○銀行の開発案件を担当した」とか言うと、「しっかりしたSEがいるのかな」とか思われちゃう。プライムで受けてたりしたら、それはもう、えらいこっちゃ。営業もラクである。

さてそのシステム開発業界を、中心となって支えてくれる銀行さん。その企画部門。

※ここから先は業界に詳しい方から聞いた話のウケウリ的なところもあるし、すべての銀行さんを指しているわけでもないので、文章の最後に「らしい」を付けて読んでください。

一般に、どの会社でも企画部門はプライドが高いものだけど、銀行の企画部門は、それはもうエリートの中のエリートと呼ばれる優秀な人たちが集まっているわけだから、それはそれはプライドが高い。
そんな銀行の企画部門の方たちは、クラウドサービスベンダーを嫌う。
なぜなら、クラウドサービスベンダーは銀行さんへのシステム提案の過程において、既に稼動している事例もベースに分析系のコンサルティングもやることが多いわけだが、そんなことをしてしまうと銀行の企画部門は仕事がなくなってしまうのである。企画部門からしたら、「コラー!」である。

だから、企画部門の方は「ここは俺の専門領域だ。ポッと出のオマエラが偉そうなこと言ってないで、俺が考えたとおりに作れ」と言う。

となると、世の中の流れがクラウドになろうが何だろうが、結局日本は今まで通りの流れでいく可能性が高い。しかもセキュリティ要件が最高潮の銀行さんが、そう簡単にデータを外(=自行の資産以外のところ)に出すことは考えられないし、何歩か譲って、機能切り出しでクラウド上にシステムを構築したとして、企画部門からのオーダーで構築となると、Full Progrmmableな環境(例えばAmazonとか)でせっせと社会効率悪くオリジナルシステムを構築する、というスタイルになることも予想される。つまり、場所がイントラのサーバーからクラウド上のサーバ群に変わっただけっていう、よくわからない状態のやつ。

というわけで結論めいたものを出すとするなら、まずIT営業マンは、その営業スキルに加えて「マーケティング力」を身に付けて、マーケティングでシステムを売る力を身につけることと、クラウドに関する知識(技術だけじゃなく価格面含め)を蓄え、システムのクラウド化についてそのメリットや有効性、必要性をコンサルテーションできる力を備えること。
そうすれば、次の10年ぐらいは生きていけそうな気がする(その先の10年なんて考えたってわからない。わかるのは、日本の人口は確実に減っている、ということだけ)。


などとツラツラ考えていたら、同じように営業マンのスタンスについて考えておられる方がいらっしゃいました。

クラウド時代に必要なもう一つの営業の心構えとは・・・

いずれにしろ、技術者同様、営業マンだって日々勉強は必要なのである。
大変である。
だから面白くもある。

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