2010年10月21日木曜日

久しぶりにRIA周り事情を考えてみる

現在は直接その仕事をしているわけではないが、やはり長く関わっていたせいか気になってしまうリッチクライアント・RIA業界。気になるついでに、今の動きを抑えつつ、この先を考えるための土台を考察。

まずはこれまでを振り返っておくと、クライアント技術の変遷としては下記の図がよく利用される。ボクも営業・マーケをしていた頃は散々この図を使って力説したので、たぶん今でも目を閉じててもスラスラ説明できる。

出典:システムの考え方の変遷 /RIAシステム構築ガイド #02

縦軸にユーザビリティ、横軸にコストパフォーマンスを取っていて、曲線矢印(横に倒したS字形)で発展していったことを示している。

さて、出典元を見ていただければ分かるが、これは2008年暮れの記事である。
1年先ですら読めないこの業界、もう2年近く前の情報だが、意外とそんなに激しく動くことなく基本的にはこのトレンドの中にあったように思う。しかし、2010年になって俄かに(ボクの中では俄かだった)脚光を浴び始めた「HTML5」が、この図に強烈なインパクトを与える。

ボクのイメージだと、こうだ。


RIAで提供されていた機能の多くが、HTMLの規格として実装されることになるわけだから、今までRIAを使わないと実現できなかった高いユーザビリティがブラウザのみで提供されることになる。また、別途ランタイム等をインストールする必要がない、という点においても、ユーザビリティは飛躍的に向上するはず。
そしてコストパフォーマンスについても、開発への投資に対する成果のリターンとするなら、こなれるまでは多少時間が必要だろうが、それはベンダー提供のRIAの方が言えるわけで、一度「HTML5開発の定石(お作法)」が確立してしまえば爆発力はもの凄いだろう。圧倒的なコストパフォーマンスを実現するに違いない。

そんなところから、隔世の感を込めてちょっと浮かせた右上にHTML5が登場する。そんなイメージです。

※上記イメージでは、RIA相当の機能として「WebSocket」「WebStorage」も含んで考えているので、正確には「HTML5周辺技術」です。が、いずれにしろ「ブラウザのみで動く」というところがポイント。

とはいえ、RIA系開発現場から離れてしまっているので、実際にトレンドはどうなのか?ということがわからないので、Google Insights for Searchで各キーワードの人気度を追ってみました。

キーワード「リッチクライアント」


キーワード「Rich Internet Applications」

※「RIA」だとここで意図している「Rich Internet Applications」以外のものも含んでしまうので、フル名称で検索。

いずれも2005年辺りがピークで、後は下降傾向なのが見て取れます。
(ただこれは、言葉として一般的に浸透したからキーワードとしての検索数が減ったというまったく逆のパターンも考えられます。)

あまり意味はありませんが、「HTML5」も一応。

今年になって急激にドカっときていることは分かるかと思います。

ちなみに、それぞれ「地域別人気度」というのが見れて、「インド」「韓国」辺りで上記キーワードが人気なのが分かります。今その技術を使って開発している拠点はどこか、というのが見えて面白いですよ(ちなみに韓国のRIA技術は相当進んでいたと記憶している)。


さてここで、少し軸を変えて考えてみる。
システムはこれまで「集中」と「分散」を繰り返してきている、というのは歴史が証明している有名な話。で、先日JMMか何かでエリオット波動理論というのが出てきて、何だろう?と調べてみると「市場の分析手法」とのこと。文系なボクにはツライ内容だが、結果導き出されている波形はこの歴史の変遷に当てはめれるんじゃなかろうか?と試しにやってみた。



青い吹き出し部分が「分散」化、緑の吹き出しが「集中」。「AjaxはRIA側だろう」というご指摘もあるかと思うが、ここでは「分散と集中」について分類しているので、「非同期」がウリでオンメモリなAjaxはあえて「集中」側の技術に入れた。HTML5(というかWebStorage)に比べて、というある種デキレースな部分もなきにしもあらず…。

ちなみにこの波動だと、第3波が最も強力な波動になるらしい。上記で当てはめるとRIAへ向かう波動。振り返ってみて、確かにRIA系技術がシステムの世界に果たした貢献度合いは(B2C、B2B、inBともに)非常に大きいと思うので、違和感はないように感じる。

で、この波動でいくとHTML5が山場となり、その先が今後の予想していくべきところ。ボク的には、GoogleのOS、「Chromium OS」がまさしくこのポジションに来るのではないか?というのが今のところ一番しっくりきている。

その先は何とも予想すらしていないが、ただ、青い点線を書き足してみた。これはモバイル技術の線。黒い線はあくまでPC系統のシステムで考察したものだが、この黒い線が頂点を迎え一種完成系となった段階で、もう市場の主流はモバイルにシフトしていくのでは?という意味。
ガラケー、スマートフォン、そしてiPad等、持ち運べる端末も日々めざましい進歩を続けており、ネットワーク、UI、操作性等、格段の速さでもって進化している。

果たしてこの線にはどんな吹き出しがプロットされていくのか?
またじっくり考えてみたいテーマとして、次回に取っておこう。


いずれにしろ、HTML5に乗り遅れるな!
Google API Expertが解説するHTML5ガイドブック

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