2011年6月9日木曜日

【読書】佐藤可士和の超整理術

佐藤可士和の超整理術 (日経ビジネス人文庫)言わずと知れた、クリエイティブ・ディレクター佐藤可士和氏が書き下ろした2007年当時のベストセラーです。
ゴールディンウィーク中に、何か隙間時間に読めて、かつ役立ちそうなライトな本は無いかな~と文庫版を手にとってみました。
移動中に開いて1時間もあれば読めますが、内容は「書類はこういう風にしまいましょう」といった主婦向け整理術の本ではもちろんなく、営業術から問題解決力、コミュニケーション力からアイデア発想力まで、「仕事力」と括られるようないろんなエッセンスを佐藤氏流に「整理」という視点から解説していて、ある意味「佐藤可士和氏、素っ裸」とも言える内容かもしれません。

問題の本質をきちんと捉えて対処していくには、どんなプロセスで進めて(整理して)いけばいいのか。
佐藤氏は、以下のように進めるそうです。
  • 状況把握:対象(クライアント)を問診して、現状に関する情報を得る。
  • 視点導入:情報に、ある視点を持ち込んで並べ替え、問題の本質を突き止める
  • 課題設定:問題解決のために、クリアすべき課題を設定する。
こうしてまとめて記載されていると、いずれも当たり前っちゃ当たり前のことなんですが、得てしてこういう当たり前のことほど難しかったりしますよね。
本書では、佐藤氏が手がけた実際の案件を多く例に挙げながら、具体的にどう考えたか、どうしたらどうなったか、ということが書かれていますが、それらを読んで感じたのは、上記すべてについて首尾一貫、徹底しているということ。とにかく対象について幅広く貪欲に吸収し、そこで得たものを、近付いたり離れたり回したりして見つめながら徹底的に考えぬき、考えられる課題を全部洗い出して解決する、文章ではサラっと「うまくいきました」と書いてあっても、そこに至るまでにはこのように相当な労力が注ぎ込まれているんだろうな、と感じます。

全体の構成としては、レベル1「空間の整理術」として、まずは実際に体を動かして整理することで、整理の効果を実感するところから始まり、ここではまさに「ペン立ては使うな」「鞄の中身を見なおせ」「PCのファイル名をつけるコツ」といったような、まさに体を動かして実践できる整理術が紹介されています。鞄については、「鞄を持たずに“手ぶら”で出勤してみると意外と良い」と書いてあって、実はボクもこれを読む以前、鞄は持たずにiPadだけ手に持って仕事場に行ったことがあって、その時の開放感は確かに良かったので、頷きながら読みました。

レベル2「情報の整理術」では、“視点”をキーワードに、問題の本質への迫り方とビジョンの見つけ出し方が解説されています。視点を導入することにより、バラバラな情報同士の因果関係をはっきりさせていく。ちょうど、以前の読書感想文でも書きましたが、「キュレーションの時代 「つながり」の情報革命が始まる (ちくま新書)」の「視座にチェックインする」という考え方と絡めると、さらに効果をイメージできると思います。

最後のレベル3「思考の整理術」では、最も難易度の高い「人の考えていること」を整理する方法が紹介されています。ある意味、本質的なコミュニケーション術とも言えます。ユニクロや今治タオルなど、豊富な事例とともに解説されます。

ボクが読んだのは単行本版ですが、とは言え最初にカラー写真があったり、本文途中でも作品の写真が掲載されていたり、それらを見ていても面白い。国立新美術館のロゴなんて、しばらくじ~っと見入ってしまいました。


ライトに読めるからと言って、ただライトに読み終えてしまうにはもったいない1冊です。



あと、会員登録(無料)しないと読めませんが、佐藤可士和氏のパートナーでありマネージャーである佐藤悦子氏のインタビュー記事も面白い。「PR」って派手に思われるけど、意外と一つ一つは地味な作業の積み重ねだったりするんですよね。
“アートディレクター・佐藤可士和”をPRする : SAMURAI佐藤悦子流“夢を形にするマネジメント術”

本も出されているみたいです。
SAMURAI 佐藤可士和のつくり方
佐藤 悦子
誠文堂新光社
売り上げランキング: 103649


蛇足。
しかし、まさかボクの苗字(柏)が名前の人がいるなんてなぁ。
ボクが佐藤さんとユニットを組んだら、まさしくサトウカシワになってしまうじゃないか。
(しかも実際、組んでたしw。これからも組むだろうから、怒られない範囲で考えよ)

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